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2019年06月17日(月)

エンジニア科1年生 草を刈り、木に登る ~「林業の道具」(下刈・ぶり縄実習)

エンジニア科1年生「林業の道具」第3回授業で、造林鎌による下刈とぶり縄による木登り実習を行いました。

好天に恵まれたこの日、午前中は、造林鎌による下刈実習を行いました。

現場は、AC演習林内の植林地。実習面積は約0.1ha余と決して広くはありませんが、雑木、下草はすでに学生達の身長を超え、ウルシのほかイバラやサンショウなどトゲのある樹種も多く、楽な現場ではありません。

作業は、午前中のわずかな時間でしたが、刃物の切れ味、この時期の下草の茂り具合、人力作業の労働強度など様々な経験を積むことができたとことと思います。

7月には刈払機による下刈実習も控えており、その時は、気温も上がり、さらに過酷な労働環境を体験することになります。今回の手刈り作業は、それとの良い比較となることでしょう。

 

作業が進むにつれ、雑木や下草に埋もれていた植林木が姿を現します。下刈作業は過酷な作業ですが、その達成感はひとしおです。

手遅れになる前に、植林木を救出してあげることができましたね。

これからの季節、ハチ刺され対策も忘れることができません。この機会に防蜂ネットの使い心地も体験しておきます。

午後は、恒例のぶり縄による木登り実習を行いました。

ぶり縄は、ロープ両端に短い棒を結び付けただけの伝統的な木登り道具です。現在も林業の現場で活用されており、ベテラン技術者は、この道具を使い樹高が30mもあるような大木にも登ってしまいます。

アカデミーでは、毎年、ロープワークの一環としてぶり縄による木登り実習を行っています。

今回の実習では、登り方を覚えるところまでですが、秋に行う枝打ち実習では、ぶり縄を使い枝打ち作業を行います。

 

ぶり縄の使用に先立ち、安全に実習が行えるよう安全帯の使い方を覚えます。

ベルトの通し方、ランヤードの扱いなど正しく使えなくては安全を確保できません。

学生達は、装着状態を互にチェックしあい、正しい装着を確認できたところで現場に向かいます。

最初は、無理せず低い位置にぶり縄を取り付けて登ってみます。巻き付けがシンプルなだけに、一巻き、一巻きを確実に締め込む必要があります。

巻き方が間違っていたり、締め方が甘いと、足場が安定せず、時にはずり落ちることだってあります。

足場に登ったらすかさず安全帯のランヤードをセット。大丈夫だとは解っていても、手を離すにはちょっと勇気がいります。

一旦、足場に上がったら、幹に近いところに足を置き、出来るだけ踏み替えしないようにしましょう。

最初は、おっかなびっくりですが、次第に高さや、ランヤードに体を預けることに慣れてきます。

慣れたところで、二段目の取り付けに挑戦。二段目の取り付けは、足場が不安定なうえ、ランヤードも邪魔になり、一段目の様にはいきません。

バディーに見守られ、足場をうまく取り付けることができたら、さらなる高みを目指し、覚悟を決めて、体を引き上げます。

足場は、思い切って高い位置(腕を伸ばした高さ)に取り付けたほうが、体を樹幹から離すことなく作業ができ、体を引き上げることも容易になります。

その時、2段目の足場の高さは、2間(3.6m)程度に達しています。わずか数メートルとはいえ、視点が変わり、かなりの高さを感じるはず。

注意したいのは、ぶり縄は、登るときより、降りる時の方が怖いこと。この日も実習終盤になってあちこちから悲鳴が聞こえていましたとさ。

 

 

ロープがあれば、現地の材料で作ることもできるぶり縄、タープを張るときや、野生動物観察用センサーカメラの取り付けなどにも応用できます。

是非、身に着けてきたい技術の一つです。

 

担当 伊佐治でした。